はじめに
「何もかもうまくいかない」「私はだめだ」といった思考に、心が占領されてしまうことはありませんか?
思考リフレーミング(Cognitive Reframing)は、そんな“自動的に浮かんでくるネガティブ思考”の「枠組み(フレーム)」を変えることで、気分や行動を和らげ、より柔軟で現実的な視点に整えていく手法です。
これは認知行動療法(CBT)という心理療法の柱の一つでもあり、日常生活に応用可能な「自分への対話の技術」とも言えます。
思考のフレームとは何か?
私たちは、出来事そのものではなく、「それをどう捉えたか(=フレーム)」によって気分が大きく左右されます。
例:
- Aさんに挨拶したのに無視された → 「嫌われた」と捉える(落ち込む)
- 同じ出来事でも → 「忙しかったのかな」と捉える(あまり気にしない)
→ 出来事は同じでも、解釈が違うだけで感情の波がまるで変わる。
この「解釈のクセ」に気づき、別の見方(フレーム)に変えるのがリフレーミングです。
思考リフレーミングの基本ステップ
気分が落ち込んだモメントを見つける
- 「またやってしまった…」「なんで私だけ…」など
その時に頭によぎった考えを書き出す
- ネガティブな自動思考を紙やスマホに書く(頭の中に置いておかない)
別の見方を考えてみる
- 「他の可能性はあるか?」「友達が同じことを言ってきたら、何て声をかける?」
新しい解釈をテストする
- 自分の気分がどう変わるか、少し観察してみる
無理にポジティブにしなくていい
リフレーミングは「無理やり前向きになる」ことではありません。
×「失敗したけど最高!」ではなく、 〇「失敗したけど、それは学びの一歩だったかもしれない」
現実をねじ曲げるのではなく、「よりバランスの取れた捉え方を探す」ことが本質です。
毎日の中でできるリフレーミングの練習法
- ノートに「今日モヤッとしたこと」を1つ書き出す
- そのとき浮かんだ思考を書いてみる
- 「他にどんな捉え方があるだろう?」と問いかける
- 優しい友人になったつもりで客観的に助言してみる
おわりに
リフレーミングは習慣にしてこそ効果が出ます。最初はピンとこなくても、「あ、これって他の見方もあるかも」と気づくだけでも十分。
少しずつ視点を柔らかくしていくことが、心の自由度を広げ、自己否定から回復する力につながります。
「今の自分に優しくなるための考え方」、それが思考リフレーミングです。