目標設定のフレームワーク:心が疲れている時でもできる小さな一歩

はじめに

うつ状態や心が疲れているとき、「目標を立てる」と聞くだけでしんどく感じることはありませんか?

大きすぎる目標や理想は、むしろ自己否定や挫折感につながることもあります。そこで、ここでは“心に負担をかけない目標設定”のフレームワークを紹介します。

小さな達成が「自分を取り戻す力」になり、やがて未来に向かう感覚を取り戻していける──そんな優しい設計を目指します。


なぜ「小さな目標」が効果的なのか?

▶ 自己効力感(セルフ・エフィカシー)が高まる

「自分にもできた」と思える体験は、次の一歩の原動力になります。

▶ 脳は“達成感”を学習する

達成によって脳内にドーパミンが分泌され、「行動すること=快」として学習されやすくなります。

▶ 失敗してもダメージが小さい

小さな目標なら、うまくいかなくても立ち直りやすい。自己否定の悪循環に陥りにくくなります。


「行動」ベースの目標を立てる

「元気になる」「ちゃんとする」は抽象的すぎて実行が難しい。

→ 目標は“気持ち”ではなく“行動”を軸に立てるのがポイントです。

例:

  • ❌「前向きに過ごす」→ ✅「朝カーテンを開ける」
  • ❌「落ち込まない」→ ✅「夜はスマホを30分置いておく」

行動が具体的なら、評価も“できた・できなかった”でシンプルになります。


 スモールステップの目標設定法

① 1日1つ、達成できそうな行動を決める

  • 例:「今日は5分だけストレッチする」「お皿を1枚だけ洗う」

② それができたら、手帳やアプリに〇をつける

  • 目に見える“できた証”が、小さな達成感を生みます

③ 毎日は無理でも、「週に3回できたらOK」とする

  • 連続しなくていい。自分基準の柔らかいルールをつくる

4. 目標設定の4つの視点(“RARA”モデル)

  • R:Realistic(現実的)
    • 今の自分ができそうな範囲から
  • A:Action-based(行動ベース)
    • 思考や感情よりも“行動”にフォーカス
  • R:Recordable(記録可能)
    • 達成を視覚化できる方法を用意
  • A:Adjustable(調整可能)
    • 状態に応じて柔軟に目標を変えてOK

この“RARAモデル”を使うと、目標が自分の心身の状態にフィットしたものになります。


おわりに

目標は、「誰かに勝つため」ではなく、「自分の中の小さな回復を見つけるため」に立てるものです。

今日のあなたが、ほんの少し楽になれるための“1つの行動”。

それが、やがて自信や安定感につながっていきます。

大きな夢を描けないときは、足元の一歩を大切に。 その小さな一歩こそが、人生を変える最初の種まきになります。